最近聴講した講演まとめ

開業すると他の医師の診療を目の当たりにしたり、一緒に診療したりすることはどうしても少なくなります。そういった経験の共有から学ぶことは自ずと少なくなるため、できるだけ多くの本や論文を読むことで最新の医学知識などを学習するようにしています。しかし、いわゆるその道のエキスパートの先生の講演を聞くことは、本を数冊読むより勉強になることが多いものです。最近聴講した主な講演(精神科関連以外のものは省略しています)は以下の通りです。いずれも明日からの診療に役立つ内容でした。

・広島県医師会 園医・嘱託医研修会
「発音が悪い、ことばが遅い・・・その後」
県立広島病院 小児感覚器科 主任部長 益田 慎 先生
「言語発達障害に対する言語療法の実際」
わかば療育園 言語聴覚士 下妻 玄典 先生
「自閉症スペクトラム-幼児期の診断と対応」
桜クリニック 院長 杉山 信作 先生

・広島県精神神経科診療所協会学術講演会
「シンプルな処方を見据えたうつ病の治療戦略」
東京医科歯科大学 心療・緩和医療学 教授 松島 英介 先生
「アルコール依存症の診断と対応・治療」
医療法人社団 信和会 高嶺病院 医長 田中 増郎 先生

・Meiji Seika ファルマ Webカンファレンス
「日本人のうつ病エビデンスを臨床に活かすために ~具体的患者像~」
関西医科大学 精神神経科学教室 准教授 加藤 正樹 先生

・日本医師会認定産業医研修会
「労働と睡眠」
中部大学名古屋キャンパス 睡眠・認知症予防プロジェクト中部大学推進センター 特任教授 宮崎 総一郎 先生
「ストレスチェック制度 高ストレス者の選定と面接指導 ~現状と課題~」
豊川産業医事務所 所長 豊川 彰博 先生
「運転業務と薬物」
香川大学医学部精神神経医科学 教授 中村 祐 先生
「事業所におけるがん治療と職業生活の両立支援」
広島市立安佐市民病院 精神科・緩和ケア内科 主任部長 日笠 哲 先生


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こころの健康よろず相談のお知らせ

10月22日(日)10時から15時30分まで、広島県精神神経科診療所協会主催の相談会が行われます。

詳細は下記をご参照ください。

県内のクリニックに所属する精神科専門医が無料で相談に応じます。

対面相談、電話相談ともに予約は不要です。

匿名での相談、ご家族のみの相談なども可能です。

ぜひお気軽にご相談ください。

対面相談の会場はアクア広島センター街8階の広島市消費生活センター(広島会場)とローズアリーナ(福山会場)です。

電話はつながりにくい場合がありますが、ご了承ください。


新規ADHD治療薬「インチュニブ」

ADHD(注意欠陥多動性障害)に対する新しい治療薬が発売され、当院でも処方を開始しました。

ADHDは不注意や多動性、衝動性を特徴とする発達障害の一つで、今まで「コンサータ」と「ストラテラ」の2種類の治療薬が使われてきました。

インチュニブは脳の中の前頭前皮質という場所で減弱しているシグナル伝達を増強するという新しいメカニズムで、不注意と多動性、衝動性の両方の症状を改善させると考えられています。

従来の薬で症状の改善が不十分な方や、副作用などで従来の薬が使用できなかった方にも効果が期待されます。
お困りの方はご相談ください。

ただし、現時点では小児期(6歳以上18歳未満)の方にしか処方できません(18歳未満でインチュニブを開始すれば、18歳を超えても継続処方することができます)。また発売後1年経過するまでは、1回に処方できるのは2週間分までとなります。コンサータやストラテラは18歳以上の方への処方は可能です。

高齢者不眠診療の治療戦略

福山市民病院精神科・精神腫瘍科 平 俊浩先生の講演を聴講してきました。

不眠に対して「まず睡眠薬」でないのはもちろんことですが、
特に高齢者の不眠に対する「適切な薬物療法」について学ばせていただきました。

従来から使用されている睡眠薬(「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるもの)は、
特に高齢者においては、せん妄(強い寝ぼけのような状態になる特殊な意識障害)や転倒の原因になることがあります。
とは言え、不眠を放っておくことは高血圧やうつ病など、様々な病気のリスクになることが知られているため、生活習慣や睡眠環境を適切に整えても眠れない状態が続き、日中の活動にも影響を与えるような場合は、薬による治療を検討する必要があります。

最近はメラトニンやオレキシンなどといった部位に働きかける、新しい作用メカニズムの睡眠薬が発売されています。
これらの薬は上述のせん妄に対して、むしろ治療的に働いたり、
転倒を起こしにくい(少なくとも転倒を増やさない)と言われています。

今は元気な高齢者であっても、将来的に身体疾患などでせん妄や転倒を起こしやすい状態になる可能性はあります。
そういった将来のリスクも見越した上で、これらの薬を上手に使用していくことが大切であるというお話が印象に残りました。

それにしても平先生は講演がとても上手。
初めてお話を伺いましたが、非常に分かりやすかったです。
自分が講演する際にも、平先生のようにできればいいなと思いました。

山脇成人教授退任記念シンポジウム

広島大学精神科の山脇成人教授退任記念シンポジウムおよび祝賀会に出席して参りました。

山脇先生は1990年、36歳の若さで広島大学精神科の教授に就任(これは全国でもいまだに破られていない最年少記録だそうです)され、以後27年間の長きに渡り、多くの学生や精神科医(私もそのうちの一人ですが)の指導や各種国際学会の主催、最先端の研究などに従事してこられました。

シンポジウムでは「感性脳科学の産学共創イノベーションによる未来社会創造への挑戦 ~うつ病医療からワクワクするモノづくりまで~」とのタイトルで、共同研究をしている先生方や山脇先生とつながりの深い国内外の先生方による、これまでの研究成果や今後の展望についての講演がありました。正直私には難しすぎる内容もありましたが、広島で行われている最先端の研究の一部を垣間見ることができ、大変刺激的な機会となりました。

当院も平成23年度から平成27年度まで行われた脳科学研究推進戦略プログラム(通称 脳プロ)で、微力ながら広島うつ病研究に協力させていただきました。今後広島大学の特任教授、名誉教授に就任される山脇先生に引き続きご指導いただき、また研究に参加させていただける機会があればと思っています。新しい治療法や診断法の開発のため、当院に通院されている患者様にご協力いただくことがあるかもしれませんが、その際にはよろしくお願いいたします。

祝賀会は、同門の多くの精神科医のみならず、ウィーン大学精神科のKasper教授や国内の多くの他大学の精神科教授方、広島大学の他科の教授方、県内の主要病院の院長先生方から、山脇先生の学生時代のご友人や恩師の方々まで総勢約400名が参加し、盛会に終わりました。
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