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日本うつ病学会 うつ病治療指針

先月、日本うつ病学会(http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/)よりうつ病の治療ガイドラインが発表されました。
過不足なく正確に診断するために必要な情報収集や、治療に関する基本的な考え方、
うつ病の重症度別の標準的な治療法、最初の治療が奏効しなかった場合の次の一手など、
うつ病診療のエッセンスが凝集された内容となっています。

医師向けのガイドラインのため、ここで薬の使い方などの細かいことは言及しませんが、
今回のガイドライン発表の一つのポイントは、
患者数が最近10年で約3倍にも増えたと言われるうつ病の診療において、
問題となっている誤診断や安易な薬物療法を抑制する目的があるということだと思います。

当院にも気分の落ちこみや意欲の低下など、うつ病が疑われる症状で受診される方は多くおられますが、
初診の時点でいきなり抗うつ薬の投与が必要と考えられる方は、実際には意外なほど少ないものです。

心の病気の患者様の治療を組み立てていくにあたり、
生物学的要因、心理的要因、環境要因の3つの視点から考える必要があります。

生物学的要因とは脳の機能の低下としての側面で、これに対しては薬の治療が行われます。

心理的要因は、元々の性格の傾向の問題や、考え方の偏りなどの問題で、
これに対しては種々のカウンセリングなどの心理療法が行われます。

環境要因はその言葉の通りですが、職場や家庭などにおけるストレスの問題で、
ここに問題がある場合、環境の調整に介入する必要が出てきます。

病気に影響を与えるこの3つの要因の割合は、それぞれの患者様によって違いますが、
どの患者様においても、常にこの3つの要因を考慮する必要があります。

薬だけ飲んでいれば治る病気ではありませんし、
心理的要因や環境要因が大きい方は、薬が効きにくいということが言えるかもしれません。

常にこの3つの視点を持ちつつ、ガイドラインに載っているような
標準的な治療を心がけていこうと思います。
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